長唄ではこのような2種の笛を用います。
1つは竹の素材がむき出しになった「篠笛」,もう1つは手前の黒くて太い「能管」でこれも竹製。
「篠笛」は全国のお祭りでよく見かけるものと同じようにも見えますが,指孔の数や位置によってそれぞれ異なり遠目では見分け辛いです。
篠笛と名前が付いているものは歌舞伎の三味線音楽で使える笛,つまり三味線音楽の音の使い方にあった笛と一般的に考えてよいでしょう。

「能管」は本来は能楽で用いられている,歌舞伎より古い歴史をもつ日本の楽器。能楽ではこの能管のみを使っているので単に「笛」と呼ばれています。歌舞伎音楽の長唄は能や浄瑠璃といった当時の流行りものを集めた音楽なため,篠笛だけでなく能管も用いられるようになりました。

長唄クラブではこのように2種の笛をプラスチック製で開発されたもの(伝統音楽による教育:笛(篠笛/能管)の製造・販売は日音 (fue-nichion.com))を使って稽古します。長唄の音楽に合わせて演奏するためにこの2種の楽器は必要で,学校でリコーダーを個人持ちするように,各自1本ずつもって練習をしています。

小鼓

姿美しい小鼓についてお話します。胴の部分と皮に分かれ,朱色の麻紐(調べ)によって組んで用いられる楽器。
この胴と皮は,音に大きく関わる部分です。胴は山桜の樹をくり貫いたものでそこに細かなカンナ目が彫られています。この樹の材質,カンナ目の彫りが胴の価値を決め,音色や音量などを決める大切な条件となります。写真にあるようにカンナ目には様々な種類があり楽器を特徴づけます。そしてその楽器としての条件を満たすものとは,なんと安土桃山から江戸初期の頃の450年ほど前の楽器。山桜が豊富にあり,腕のよい彫り師がいる,また武家社会の需要があったなど,優れた楽器がこの時代に多く誕生した所以かと思われます。

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 二枚の皮においては仔馬のお尻の方の皮が用いられていて,これは材質もさることながら,使い込んでいくほどに良い音を作るというもので,実際にプロ奏者が舞台で用いられる皮は50年から100年ほど使い込んだものであるとされています。手で打ち込む方の表皮と反対側にある裏皮。それぞれ役割が異なり,その2種の役割のバランス,また胴とのバランス,全てにおいて条件が整ったときに鼓の音を聴くことができます。
 また湿度を好む小鼓はいつも皮に湿り気を与えて調節せねばなりません。そして数種類の音色を使い分け鼓の「手」を奏でていきます。
クラブの子供達はこのように本物の楽器に触れながら工夫しながら音を出しています。すぐに音のでる合成の皮も人気ですが,鳴らし辛い楽器を何とかして鳴らす,という楽しみを本物の皮から学んでいるようです。